近 代 日 本
『この国の芸術:「日本美術史」を脱帝国主義化する』
オンライン連続講義[全10回]開催概要
近 代 日 本
『この国の芸術:「日本美術史」を脱帝国主義化する』は2023年月曜社より刊行予定の論集+インタビュー集です。編著者は小田原のどかと山本浩貴、参加者は千葉慶、穂積利明、飯山由貴、加藤弘子、北原 恵、琴 仙姫、北澤憲昭、吉良智子、小金沢 智、小泉明郎、國盛麻衣佳、菊池裕子、馬 定延、中嶋 泉、長津結一郎、大坂紘一郎、嶋田美子、富澤ケイ愛理子、吉國元(アルファベット順、敬称略)、デザイナーは真崎嶺です。
2022年8月から12月にかけて、本書の寄稿者有志11名による全10回のオンライン連続講義を開催します。「日本美術史」にこれまでとは異なる角度から光を当て、ここに記述されることを避けられてきた存在を可視化するとともに、なぜそれらが避けられてきたのかに迫ります。各回の司会は、書籍の企画者である小田原のどかと山本浩貴が務めます。美術を専門的に学ぶ方はもちろん、これから美術を知りたいという方も、ぜひ気軽にご参加ください。
聴講チケットはPeatixにて販売しています。各回のチケット価格は一般2,000円/学割700円です。学割対象者は、大学あるいは研究機関等に非常勤で勤務している者、 または非正規雇用の形態で就労している労働者を含みます。 学割チケットの購入に際し、学生証の提示や、 就労状況についての証明は必要ありません。また、講義の安全な開催のため、「ハラスメント防止ガイドライン」を定めています。
本企画の背景については、月曜社のウェブサイトにて公開されている小田原のどかと山本浩貴の対談記事をお読みください。
➡小田原のどか・山本浩貴対談「この国(近代日本)の芸術をめぐって」を読む[月曜社]
➡プレスリリース[2022年7月11日公開/PDF/3.1MB]
〈連続講義について〉
※日時・内容などは変更になる場合がございます。ご了承ください。第1回、10回をのぞき、チケット購入者には講義翌日から1ヶ月限定で録画を公開予定です。
[第1回] 8月10日(水)19時〜
「日本美術史の脱中心化:アイヌ、沖縄」
講師 加藤弘子+富澤ケイ愛理子
※当日配信のみ、録画公開はありません。
[第2回] 8月31日(水)19時〜
「「工芸」から「この国」の「日本美術史」を脱帝国化する:ジェンダー、伝統、サステナビリティ」
講師 菊池裕子
[第3回] 9月7日(水)19時〜
「炭鉱と美術:旧産炭地が育んだ美術表現の固有性と戦後日本美術に対する影響」
講師 國盛麻衣佳
[第4回] 9月27日(火)19時〜
「天皇制モニュメントはどこまで読みほどくことができるか:八紘之基柱を例に」
講師 千葉慶
[第5回] 10月14日(金)19時〜
「帝国の美術史のなかの女流美術家奉公隊(仮)」
講師 吉良智子
[第6回] 10月28日(金)19時〜
「帝国の記憶:震災、戦争、公害(仮)」
講師 小田原のどか
[第7回] 11月11日(金)19時〜
「障害のある人の芸術活動を批判的障害学の観点から再考する(仮)」
講師 長津結一郎
[第8回] 11月25日(金)19時〜
「なぜ私は「日本人慰安婦像になってみ」なければいけなかったのか」
講師 嶋田美子
[第9回] 12月8日(木)19時〜
「反帝国の芸術家としての四國五郎:エコロジー・エスニシティ・ジェンダーが交差するインターセクショナルな視点から(仮)」
講師 山本浩貴
[第10回] 12月22日(木)19時〜
「御前会議の表象:『マッカーサー元帥レポート』に掲載された天皇と戦争画(仮)」
講師 北原恵
〈チケットについて〉
チケットはPeatixにて販売しています。各回単発チケットの価格は一般2,000円/学割700円です。「全10回通しチケット」は18,000円/6,000円でご用意しています。「全10回通しチケット」は2022年8月9日まで、その他まとめ買いチケットは9月6日までの販売です。「学割」対象者には、 大学あるいは研究機関等に非常勤で勤務している者、 または非正規雇用の形態で就労している労働者を含みます。 学割チケットの購入に際し、学生証の提示や、 就労状況についての証明は必要ありません。
〈登壇者プロフィール〉(登壇順)
富澤ケイ愛理子(とみざわけい えりこ)
イースト・アングリア大学 政治・哲学・言語・コミュニケーション学部 専任講師。専門は日本近代美術史、特に日本画と沖縄近現代絵画。主著に’Reinventing Localism, Tradition, and Identity: The Role of Modern Okinawan Painting (1630s – 1960s)’ In East Asian Art History in a Transnational Context, edited by Tomizawa-Kay, E. & Watanabe, T. (Routledge, 2019) などがある。
加藤弘子(かとう ひろこ)
都の行政に従事した後、東京藝術大学、日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、現在は複数の大学で美術史概論を担当する非常勤講師。主な論文に「野田洞珉筆『鳥類写生図』―尾形光琳筆『鳥獣写生図』との関係(『美術史』162、2007年)、共著に秋篠宮文仁・西野嘉章編『鳥学大全』(東京大学出版会、2008年)、楠田哲士編『神の鳥ライチョウの生態と保全』(緑書房、2020年)などがある。
菊池裕子(きくち ゆうこ)
金沢美術工芸大学 芸術学―SCAPe 教授/Dr。ロンドン芸術大学(UAL)で約30年教鞭をとり、トランスナショナルアート研究所(TrAIN)の設立メンバーとしてポストコロニアルの視野から「工芸」を批評的に研究。英国王立芸術大学、ハイデルベルク大学、台灣中央研究院、フランス極東学院(プノンペン)、国立シンガポール大学、スミソニアンアメリカ美術館での客員教授も経て、2019年より金沢美術工芸大学 芸術学専攻―SCAPe教授。主な著作にMingei Theory and Japanese Modernisation: Cultural Nationalism and “Oriental Orientalism”(2004、ハングル語版2022); Refracted Modernity: Visual Culture and Identity in Colonial Taiwan (2007);‘Transnationalism for Design History: knowledge production and decolonization through East Asian design history’(Massey, A. ed., A Companion to Contemporary Design since 1945, 2019); The Journal of Design History特集号:Transnational Modern Design Histories in East Asia(27-4,2014); World Art特集号: Negotiating Histories: Traditions in Modern and Contemporary Asia-Pacific Art(5-1,2015)。現在、東アジアのデザイン史という枠組み構築や、「工芸」の持続可能性と女性のリーダーシップについての共同研究を日英豪の研究者数十人と進めている。
國盛麻衣佳(くにもり まいか)
美術家。博士(芸術工学)。福岡県大牟田市出身。先代が炭鉱関係の仕事に従事していたことから、炭鉱をテーマに制作や活動を行なっている。著書『炭鉱と美術 旧産炭地における美術活動の変遷』(九州大学出版会、2020年)。
千葉慶(ちば けい)
1976年、千葉県生まれ。千葉大学社会文化科学研究科修了。博士(文学)。現在は明治大学、武蔵野美術大学、大妻女子大学、千葉大学などで非常勤講師として勤める。近現代日本の美術史および歴史研究者。主な著書に『アマテラスと天皇』(吉川弘文館)、『リアルの追求 映画監督小澤啓一』(ワイズ出版)、『日活ロマン・ポルノ入門(ワイズ出版)』がある。
吉良智子(きら ともこ)
2010年 千葉大学大学院社会文化科学研究科修了(博士(文学))。著書に『戦争と女性画家 もうひとつの「近代」美術』(ブリュッケ、2013年)、『女性画家たちの戦争』(平凡社新書、2015年)。『戦争と女性画家』において女性史青山なを賞受賞(2014年)。『美術手帖』2021年8月号の「特集 女性たちの美術史」において「フェミニズム/ジェンダー美術史って何?」を担当。専門は近代日本美術史、ジェンダー史。
長津結一郎(ながつ ゆういちろう)
九州大学大学院芸術工学研究院准教授。
多様な関係性が生まれる芸術の場に伴走/伴奏する研究者。専門はアーツ・マネジメント、文化政策。障害のある人などの多様な背景を持つ人々の表現活動に着目した研究を行なっているほか、音楽実技やワークショップに関する教育、演劇・ダンス分野のマネジメントやプロデュースにも関わる。2013年東京藝術大学大学院博士後期課程修了、博士(学術・東京藝術大学)。著書に『舞台の上の障害者:境界から生まれる表現』(単著。九州大学出版会、2018年)、『アートマネジメントと社会包摂:アートの現場を社会にひらく』(共編著。水曜社、2021年)など。九州大学大学院芸術工学研究院助教を経て2022年6月より現職。
嶋田美子(しまだ よしこ)
アーティスト、60−70年代オルタナティブ文化研究。
1959年東京、立川に生まれる。1982年米国スクリップス大学卒。2015年、英国キングストン大学より博士号(美術史)取得。作品テーマは第二次世界大戦の文化的記憶とジェンダー。作品は、2019年あいちトリエンナーレ「表現の不自由展、その後」、MQウィーン「Japan Unlimited」展、2017年ソウル市美術館「Asian Divas」展など国内外で展示されている。2017年より東京大学教育学部非常勤講師として戦後日本の美術、政治、フェミニズムについて講義。
北原恵(きたはら めぐみ)
大阪大学名誉教授。東京大学総合文化研究科博士課程修了(表象文化論・学術博士)。2001年甲南大学文学部教員を経て2008年から大阪大学教員。専門は表象文化論、美術史、ジェンダー論。著作に『アート・アクティヴィズム』(インパクト出版会、1999年)『攪乱分子@境界』(インパクト出版会、2000年)、『アジアの女性身体はいかに描かれたか:視覚表象と戦争の記憶』編著(青弓社、2013年)他。論文に「《御前会議》の表象」『甲南大学紀要・文学編』2008年)、「〝モダン″と〝伝統″を生きた日本画家・谷口富美枝(1910-2001年)」『待兼山論叢』2014年)。1994年から「アート・アクティヴィズム」を連載中。 http://www.genderart.jp/
〈企画者プロフィール〉
小田原のどか(おだわら のどか)
彫刻家、評論家、出版社代表。1985年宮城県生まれ。多摩美術大学彫刻学科卒業後、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻にて修士号、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて芸術学博士号取得。著書に『近代を彫刻/超克する』(講談社、2021年)。主な共著に『吉本隆明:没後10年、激動の時代に思考し続けるために』(河出書房新社、2022年)など。主な展覧会に「近代を彫刻/超克する 雪国青森編」(個展、国際芸術センター青森、2021年)、「あいちトリエンナーレ2019」など。経営する出版社から『原爆後の75年:長崎の記憶と記録をたどる』(長崎原爆の戦後史をのこす会編、書肆九十九、2021年)、『彫刻2:彫刻、死語/新しい彫刻』(小田原のどか編著、書肆九十九、2022年)を刊行。
山本浩貴(やまもと ひろき)
文化研究者、アーティスト。1986年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン芸術大学にて修士号・博士号取得。2013~2018年、ロンドン芸術大学トランスナショナルアート研究センター博士研究員。韓国・光州のアジアカルチャーセンター研究員、香港理工大学ポストドクトラルフェロー、東京藝術大学大学院国際芸術創造研究科助教を経て、2021年より金沢美術工芸大学美術工芸学部美術科芸術学専攻講師。単著に『現代美術史 欧米、日本、トランスナショナル』(中央公論新社、2019年)、『ポスト人新世の芸術』(美術出版社、2022年)、共著に『トランスナショナルなアジアにおけるメディアと文化 発散と収束』(ラトガース大学出版、2020年)、『レイシズムを考える』(共和国、2021年)、『東アジアのソーシャリー・エンゲージド・パブリック・アート 活動する空間、場所、コミュニティ』(ベーノン・プレス、2022年)など。
〈デザイナープロフィール〉
真崎嶺(まさき れい)
ニューヨーク生まれのグラフィックデザイナー。パーソンズ美術大学でイラストレーションを、クーパー・ユニオンにてタイプデザインを学び、バーモント美術大学でグラフィックデザインの修士号を取得。2017年に拠点を東京へと移す。21年8月、日本のデザイン業界における構造的な白人至上主義と西洋化の歴史と文脈についてリサーチをもとにした日英バイリンガルの書籍『サラリーマンはなぜサーフボードを抱えるのか?』(翻訳:宮本裕人)を個人で出版した。
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